『結城姉妹(仮)』2-3

ミサに案内され悠衣たちは庭へやってきた。その間に名前だけはお互い紹介している。
「この白い髪の子がユイ、青い髪の子がナエ、茶髪の子がサナよ」
「皆さんよろしくお願いします」
「よろしく」
「よろしくねー」
一礼。
「ユイは大人しいけど怒らせちゃだめヨ?恐ろしい事になるから」
「ミサさん、それはどういう‥‥」
「悠衣、いい加減その凶器(スタンガン)から手を離したらどうだ?流石に止めるぞ」
「あら、バレてましたか」
「ゆーちゃん大人気ないよ」
「仕方ありませんね‥‥」
「ナエはお堅い人だけど可愛いから安心して!」
「可愛い、か‥‥」
「ええ」
「むう‥‥やっぱりいつもの(メイド)服の方が良かったのでは‥‥」
なえなえはそれでいいの。初々しいじゃない」
「それは褒めてるのか貶してるのか‥‥」
「褒めてるのよ、ふふ」
「そしてサナは結構気が利くいい子よ」
「ふふん」
「ふふ、沙那はいい子よ。私の大事な妹‥‥」
「ああ、沙那によって私の堅さも多少解れた気がするからな」
「わーい」
(沙那は褒めてあげないと不調に陥りやすいですからね‥‥)
(沙那は褒めてやらんとすぐネガティブになるからな‥‥)


それから孤児たちの紹介を一通り受けて、悠衣たちは孤児たちに混ざって思い思いに遊んだ。
悠衣は遊びつつも適性をひとりひとりチェックしたが、この中には悠衣の欲する子は居なかった様だ。
奈恵はそんな悠衣に「仕事人間は悠衣もだろう」とツッコミを入れたかったが止めておいた。
ちなみに鬼ごっこでは気配を消せる悠衣と奈恵には誰も適わなかった。本気でするなと沙那につっこまれたのも合わせて言っておく。


夕方、悠衣たちは教会を後にする事にした。正門前で全員から見送りを受ける。
「そろそろ時間ですね」
「今日はありがとうございます。捜し人が見つからなかったのは残念ですが、この先見つかります様祈っております」
「楽しかったよー」
「また遊ぼーね!」
「皆も元気でな」


こうして悠衣たちは研究所へ戻ってきた。
居間で揃って夕食である。
「今日の所には居なかったんだな」
「ええ‥‥」
「居ても居なくても複雑よね」
「そうね‥‥」
「ふむ‥‥」
奈恵はふと箸を止めた。
「今日は楽しかったな」
「そうね」
「うん」
「明日も楽しく過ごせると良いな」
「ええ」
「うん!」
奈恵の笑みに悠衣と沙那も笑みを漏らす。
適性の子は見つからなかったが、奈恵の休暇としては成功したのだ。2人はそこに安堵した。


さて、次なる子はいつ見つかる事やら。