『結城姉妹(仮)』OP

ここは日本のどこかの山林の奥。空からも隠れる様に黒く草臥れた木造の小さな家屋が建っていた。
しかしながら、それは仮初めの姿。
実際には精巧で大きな建物が外壁を土嚢で覆い被されており、その外壁はあらゆる視覚を遮る強固な防壁として、建てられた時から今日まで内部を守ってきた。恐らく、今後も守っていくだろう。
そんなとんでもない建物には5人の少女が暮らしている。長女の悠衣(ゆい)、次女奈恵(なえ)、三女沙那(さな)、四女真帆(まほ)、そして五女の亜由(あゆ)である。少女達はこの建物の主である結城教授の養子で、その為結城姓を名乗っている。
結城教授は生物学や機械工学など多くの分野に精通し、その熱意は他の研究者を圧倒した。しかし、元々健康状態は芳しく無かった中で無理が祟り体調を崩してしまった。仕方無くそれを理由に学会を去ると、余力を絞って悠衣に技術を残し、自身は亡くなってしまう。
そこで悠衣は結城教授の死を隠し、自身は代理という形で研究を進め、その中で孤児院などを回り、妹達を教授の養子に迎えた。研究の成果である施術により、悠衣達は特殊な能力を得つつも、副作用として10歳以上身体年齢を取らない不老となった。
そんな身体となった以上、一般社会では暮らせない。結城姉妹は研究所に身を潜め、特殊な仕事をこなして生計を立てていく様になった。

これは、そんな少女達の物語である‥‥。